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「英語の授業は英語で行うのが基本」を嫌う

ここ数週地味に話題となっている<英語の授業は英語で行うのが基本>との「御触れ」について、英語では人一倍苦労している私として思うところです。

まずはこのテーマに関して、記憶に残った投書の要旨を列挙します。

・所詮高校の授業を通じて、音楽や文学などで世界に通用する能力など誰も期待していないのに英語だけにそれを求めるのはおかしい。(数週前の朝日新聞の投書欄より、、ウロオボエ)

・私は英検2級以下の英語教員に「英語で授業を行え」ということは「人権侵害、生活権侵害」であると思っています。(中略)公立高校全部について「英語で授業」がどの程度可能かを英語コミュニケーション能力のある調査員により具体的に調査し、その調査結果を公表すべきであると思います。 (「あらたにす」への志村英盛・横浜市・75歳からの投稿)

・6年間もやって英語がしゃべれない、とよく言うが、6年間ずっと英語漬けなら別であるが、週に3時間を年間40週、6年間続けても720時間にしかならない。これはネイティブの赤ん坊が1日8時間英語を聞いているとして、実に90日分である。生後90日の赤ちゃんが英語をしゃべれないのはあたりまえなのである。つまり、絶対的な学習時間の不足が原因で、英語力がないから会話もできないのである。(「あらたにす」への広島三郎・広島市東区・60歳・大学教員からの投稿)

・多様な仕事があり、求められる能力もそれぞれだ。これから学ぶ生徒全員が英会話ができなければまずい、ということはない。(中略)高校は義務教育ではないのだから、個々の事情や就きたい職業との関連で学習できるカリキュラムにしてもよいのではないだろうか。(今日の朝日新聞への大学生からの投書)

、、「御触れ」を出した役人とその取り巻き連中の「貧困なる精神」をそれぞれ見事に批判しています。

また、中島義道の『英語コンプレックス脱出』という本には英語教師やその教育のあり方についてこんな件があります。

、、自分の下手な英語を断じて恥じないという態度を徹底的に身につけ、それを生徒に伝えるべきである。修学旅行先で、英米人に出会ったら、引率の英語教師はまず彼らにごく自然に日本語で話しかけるという模範を示すべきであろう。そして、彼らが日本語が解せない場合には、自分を英語教師と名乗ったうえで、その(スタンダード・イングリッシュから見ると)おそまつ至極なジャパニーズ・イングリッシュを、けっしてへらへらしたりつべこべ言い訳したりせずに堂々と生徒の前で披露すべきであろう。(中略)生徒たちはこうした教師の態度から英語と日本語の正しい関係を学ぶであろう。そこにまたとない国際語としての英語教育の場が開かれるのである。

英語帝国主義との闘争が前提とはいえ、「教師達にほとんど過酷とさえ言える要求をしている」のは英語教師(という職業を選択したこと)への逆恨みもあるのではないかと思える節もあります。でも、これはこれで至極効果的な「生きた英語をしゃべる」教育になると思いますし、実際必要なことです。(私も英語が下手な上司がアメリカ人とその英語で口論しているのを目の当たりにして随分「進歩」しました。)

さて、当たり前の話しかもしれませんが、勉強など必要に迫られなければしないのが性であり、これは各種のモチベーション理論も証明しているところです。大学受験があるから、生徒も教師も必死なのであって、英語がある程度できないと仕事にならないから私も必死だった時期があったのです。(TOEICには依存症的に嵌った時期もありましたけど。)将来使うかもしれないから、、程度では普通のひとはモノゴトに真剣には取り組まないものです。

もし、国家戦略として国民の英語力を本気で引き上げたいのであれば、国会はすべて英語で審議を行い(そういえば今の外務大臣は英語が棒読みだった)、NHKの番組の半分は英語にさせ(のど自慢の司会者は英語だけ使って進行するとか、大相撲の千秋楽は英語放送だけにするとか)、例の給付金を申請する書類はすべて英語にする、など自らも痛みを分かち合いながら、国民(大人)が英語で大混乱するぐらいの事態をまずはつくり出すべきでしょう。そんなことは私は望んでいませんが。

最近の例で言えば事故米の販売や給付金の年収制限などと同様、政策遂行上の難問を現場に「権限委譲」するのは為政者の姑息な姿勢として共通したものを感じます。紅葉マークみたいに半年ぐらいで潔く挫折してほしいものです。

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