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アフターサービスへの期待を嫌う

また日経ビジネスのネタです。今週の特集によると「企業のアフターサービスを問う社会問題が相次いだ」そうで、エレベーター事故、マンション耐震強度偽装、欠陥温風機の回収、保険金の未払いを上げて、「エレベーターだけじゃない/まだまだあった売りっぱなしの罪」を糾弾しています。記事本文ではありませんが「2006年アフターサービス調査」から「売りっぱなしの罪が見えてくる」そうですからをお時間があればどうぞ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/premium/20060621/104841/
日経ビジネスに限った事ではありませんが、マスコミ産業従事者はその顧客を軽く見ている節があり、問題を整理しないままに、関係がありそうな例を挙げることによって雰囲気で話しを押し切ろうとする傾向があります。
そもそも和製英語の「アフターサービス」とは「製造業者や販売業者が、商品を売った後も、その商品の品質を保証したり、点検や修理の相談に応じたりして客に奉仕すること」(広辞苑)とあり、日本人がこの言葉に過剰に期待するもの(奉仕)まで含んでいる点でこれは正しい説明だと思います。
そこで前掲の「罪」の調査結果をみると「書きっぱなしの罪」があります。
「口座開設の申し込みをしたが、1週間以上たっても連絡がないのでメールで問い合わせしようとしたが、どこから送信していいか、分からなかった。とりあえず、分かる範囲でメールを送ったところ、一般的な回答が届いて、未着の原因を調査した内容ではなかった」のは、そもそも取引開始前ですから「アフター」ではない。
「どうしてデパート系のカードは年会費が高いのでしょうか? 年間何十万円も利用しているのに、一律で同じ料金なんて…」も「サービス」の話しではない。
「1年半のうちに故障や修理ミスが何度も何度も続き、最後には『もう当社の洗濯機を買わないでください』と逆ギレされたことがある。故障が続いて悲しくて怒りたいのはこっちの方なのに」とは、正直にモノを言ってくれる人の親切を踏みにじっていますね。品質の悪い洗濯機を問題が無いようにいうことが「罪」です。
雰囲気で話しを押し切ろうとする傾向の一端は分かっていただけたと思います。
そこで冒頭の記事本文ですが、シンドラーエレベーターは死亡事故後のコメントとして「保守点検の不備が問題」と直接的な責任を否定し「同社の製品販売後の姿勢に批判が相次いだ」そうですが、これはある意味、論理的なコメントであり、「姿勢」そのものを(奉仕の姿勢が無いと)批判する方が非論理的に思います。エレベーター本体と保守点検は別売なのですから、後者に問題であるとシンドラーが断定している以上は「直接的な責任を否定」するのがコメントとしては正しい。むしろ、安全に関わる情報を製造業者から得られないことは承知の上で保守点検をビジネスにしている会社に問題がある、とシンドラーには論理的に言って欲しかった。(ちなみに、私はシンドラーの設計自体に重大な問題があると推定しているので、シンドラーの断定は間違いであり、エレベーター本体の安全設計に重大な瑕疵があり、製造物責任を問われるだろと予想しています。故にその姿勢やアフターサービスにではなく、製造物への責任を問うべきだと考えます。)
また、マンションの耐震強度偽装は詐欺なのですから、アフターサービスが悪いのではなく、商品そのものが悪かった。同様に、保険料の未払いは契約違反なのですから、これも一種の詐欺でしょう。これらは「売りっぱなしの罪」ではなく、「売っていること」が罪であったり、契約違反だったりするのであって、アフターサービスの問題ではない。
そして、欠陥温風機の回収は、車でいえばリコールと同じで不良対策なのであり、アフターサービスではない。それに(記事本文にも出てきますが)松下の対応は売りっぱなしでは無く、他社が「松下の取組みを基準に、努力が足りないと攻められたら・・」と被害者意識を持つほど模範的な内容なのだから、、これは「罪」かな?
このように見てくると「売りっぱなしの罪」と言い切れるものが記事の冒頭部の例に見当たりません。記事中を見ても、不満足の例は出てきますが、はっきりとアフターサービスと言われる部分で「罪」に問えそうなのは、マンションの補修の不履行とか、テレビの設置・接続ミスぐらいに思います。ただし、「罪」を「社会の規範・風俗・道徳などに反して、悪行・過失・災禍など」とするなら「被害者」の価値観・感受性しだいで「最初に名乗らない」から「修理に来る日時の約束が守られずに大変不快」まですべて「罪」になってしまうでしょう。
もし、アフターサービスへの「不満足」が「罪」(=「奉仕しないこと」は罪)とする論旨なら、私は納得できません。高コスト社会、過重労働、自己責任の希薄化を招くからです。これらは日頃から経済誌も日本社会の問題としていることでもあります。「書きっぱなしの罪」はここにもありますね。
ところで、そういう私ですが、もともとアフターサービスに奉仕(=謹んで仕えること)などを期待していません。いまのマンションを買った時にはどんなに丁重な対応をされても、天井の筋の影が無くなるまで壁紙の張り替え工事を4回させました。作業にあたったお兄さんは最後には泣き出しそうでしたけど。故障ネタでは話題の尽きないデジカメでは、私の落下による故障について「直すなら買ったほうが安いですよ」と直ぐに本当の事を言ってくれたので感動し、同じメーカーの製品を買いました。そして、マイノリティである私のクレームを慇懃無礼に対応した某銀行には信頼を寄せ、今でもメインバンクにしています。

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コメント

レギュラーコメンテーターのAmiciziaです。良く読んでいない中での断片的なコメントです。 某損保等の保険料未払い問題、マンガのなにわ金融道にも悪どい保険会社が描かれてましたが、父親の影響でアメリカのグリシャムの原作の弁護士モノの映画は殆ど、保険会社VS弁護士ですよね。 日本の保険会社も欧米並みにヒドクなってきたなぁと感じる今日この頃です。

[返信]
いつもコメントありがとうございます。
日本の保険会社もやっと欧米並みですか。利益率が低く、経営基盤が弱い理由かもしれませんね。
会社に出入りする保険の(未亡人が多かったと言われる)オバサンに人生相談をしながら契約する程度の無防備な「マジョリティ」から、銀行のように税金を投入しないで済むよう、はやいうちに利益を上げて欲しいものだと思います。(FAD)

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