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日経のサイトで中島義道が紹介されている

果たしてブログにおける読書案内の存在意義とは何でしょうか?私の観察した範囲では、①アマゾンや新聞・雑誌の書評欄のような批評をそこそこの緊張感と手軽さで行うためのメディア、②自分が読書家であることを誇るための「本棚」、③他人と議論を始めるための「出会い系サイト」などが思いつきます。そして、多くはその全ての要素を含んでいる思います。しかし、残念ながら多くのブログは、例外はありますが、①は内容自体も(単なる要約など)お手軽で魅力がなく、②は自己満足の域であり、③はトラックバックの交換作業が中心、といったところです。

そんな典型である日経ビジネスのサイトの「超ビジネス書レビュー」が、中島義道の本を紹介しています。(コメントやトラックバックも受け付けるようなのでこれはブログの亜流と考えてもよいでしょう。)

さおだけ屋と戦う『うるさい日本の私』 哲学者の体験談から接客の極意を掴み取る!

さて、「活字中毒」氏による一文を主旨に沿って読むと、「接客の極意」とは、<クレーマーを一人前の人間として扱い、「会社と客の板ばさみで大変だろうな」と、こちらに情を感じさせるように仕向けること>だそうです。

甘い!(←なぎら健壱風に読んで下さい。)

クレーマーにはマジョリティとマイノリティがいます。それぞれクレームの言い分は、前者なら「世間一般はこうで、それ背景にするならこうだ」で、後者なら「世間一般は知らないが、私はこうだ」です。前者はこの「極意」の通り、「世間一般ではこうだから、これでよろしく」で収まるでしょう。では後者(例:中島義道)を、一人前の人間として扱ったり、情を感じさせるように仕向けることがなどできるのでしょうか?

その「極意」を実行しようとすると、「私はこうだ」さんには、その「人間(の感受性)」の数だけ「一人前」の対応をする必要があるので、「世間一般はこうで」さんの何倍も手間がかかるでしょう。「情を感じさせる」にも同様、「私の(情は)こうだ」さんの情の数だけ手間がかかります。そもそも「会社と客の板ばさみで大変だろうな」と思う「私はこうだ」さんは、まず「会社」というものを認知し、客との板ばさみという状況に想像力が及び、かつそれを「大変だろうな」という感情を持たなければいけないのですから、仕向けること自体めったにできるとは思えない。これは、(中島義道が嫌う)相手がこちらを察してくれることへの過大な期待を前提にしている。このような「物事の核心」(極意の定義)への洞察力を持つためにこそ、中島義道を読んで欲しいものです。

では、マイノリティに対してどうすればいいのでしょうか?私は、同書に出てくる銀行員のように、相手を一人前の人間として扱わず、同情も期待せず、淡々と「慇懃無礼」に対応するのが極意だと思います。そのためには相手のためにできることの少なさに徹底して耐える事が必要です。これができないから、相手を期待させてしまい、結局応えられないために悪い感情を持たせてしまうのです。私が言うのですからここは是非「掴み取って」ください。

さらに言うなら、せっかく日経のサイトなのですから、会社の効率を上げるための知恵として、マイノリティは切り捨てろ、クレーマーに「よろしく」が通じなければ慇懃無礼にせよ、客を神様扱いするな、訴訟を受けて立て(いやこちらから「起すぞ」といって脅せ)、ぐらいの本音で迫って欲しかったですね~。

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コメント

中島義道と日経、さらにブログというとてつもない組み合わせ(笑)
FADさんの言うとおり日経的ひとおしがあれば、なお笑えたかもしれませんね。
中島義道が様々なテーマについて語るとき、最近はそのロジックに対する固執具合もきになるものです。
私も何冊か読みましたが、ついていけないなあ、と思った次第です。
で、中島義道自身が作っているサイトもあるんですよね。
彼の場合、コメント、トラックバック不要でしょうから、ブログでなく、サイトです。
それでは。

[返信]
eric_breaさん
コメントありがとうございます。
お気付きのように、笑い損なった恨みを今回引用した日経のサイトには持っています。
ロジックに対する固執は(整合性とも言えるのでしょうが)確かに強いですね。この強さには引かれるものがありますが、私も(主張のすべてに)付いていく気にはなりませし、そんなことをしたら住宅ローンが返せなくなります。
中島義道自身のサイトとは電通大のサイト内ものでしょうか?本人開設のサイトは見たことがありません。本人の著作の一節にありましたが、Webなどには全く関心ない、はずですが、、。(FAD)

マイノリティのクレーマーに対して”相手を一人前の人間として扱う”というのは本当に大変なことですね。 これは中島義道さんが著書の中でちょくちょく言う「私は人の重みに耐えられないのです」というフレーズと同じで、他人の気持ちを理解するとか、他人を一人前に扱うというのはそんなに簡単なことではないと思います。”生易しいことではない”のです。そういった意味で同情を期待せずに慇懃無礼に対応するのは正しいかもしれませんね。

[返信]
Amiciziaさん
ご賛同ありがとうございます。「人の重み」をどう認識できるかは、その人の感受性の問題でなのでしょうね。
引用したサイトへのコメント(私ではありません)に「出版されて10年くらい経っている本を今頃さおだけと結びつけて評論する理由がわかりません。」というのがあります。このクレームに「日経と読者の板ばさみで大変だろうな」と情を持たせるような対応を筆者には是非見せてほしいものです。(FAD)

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