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女性活用待った!

「できなければ会社は潰れる 女性活用待ったなし」が今週の日経ビジネスの特集でしたが、この手の女性活用の論調には待ったをかけたい、ということを述べます。女性の登用の問題、女性の就業率の問題、少子化の問題を分けずに記事にしていること自体も問いたいところですが、ここではこの特集の主張に沿って、すべての会社において、女性活用が待ったなしか、できなれければ会社は潰れるのか、を考えるようにします。

女性活用には成果主義と同じ臭気、言い換えれば嫌悪感を感じます。あえて同列に論じてみましょう。但し、女性だけの(あるいは流通業のように女性活用を予め中心に据える)会社や、まともな学生や男性を採用できず、カネで中途社員を採用したり、穴埋めに女性を採用せざるを得ないような会社(設立したての外資系企業やベンチャー)の話しは捨象します。活用しなければ潰れるのは当たり前だからです。要は、トヨタやキャノンやソニーのような製造業をはじめとする、男性中心で長年やってきた会社の話しです。

1.導入による成功事例を示せない。

一発中ててボーナスが増えた個人や、子供を生んでも仕事が続けられた個人の嬉しい話しが成功事例なのではなく、そのような制度を導入して会社全体の業績向上につながった事例が果たしてあるのでしょうか。もともと業績が伸びている会社が導入した話しはどうでもいいのです。業績が低迷していたり、潰れそうな会社がそれらの導入で成功できたという話しがあるのでしょうか。(管理職などに登用されて、環境に負けてしまった女性に関する事例研究も大切ですがそれは置きましょう。)

2.経営者の保身のための「経営課題」である。

経営者が、中長期でどうなろうと、とりあえずは時流に乗っている振りをすることで安心したい(そうしないことで非難されたくない)という、無思想かつ狡猾なやり方で事を済ましているだけではないでしょうか。成果が出なければ会社を辞めるぐらいの意気込みがあればいいのですが、成果主義を導入すること、女性比率を上げることことだけで経営責任を果たした振りをしているのが実態です。私の会社が正にそうですし、どう読んでも今回日経ビジネスに出てくる各社もそうです。(例外は、自らを純粋にサービス業だと悟った某地方銀行の話しぐらい。)

3.当事者は企業が本気で「導入」「活用」したらどうなるのか分かっているか?

自分の能力が評価されないと思うから、成果主義を導入せよとか、もっと女性を活用せよ、などと思うのでしょうが、大丈夫ですか。社員が病気になるかか自殺でもしない限りはまだ活用度が甘いと見るようなやり方が現場ではまかり通っているのです。成果が出なければ経営責任は取らずに担当者に責任を負わせるのです。それが会社における「活用」であり、成果主義というものです。

女性活用に話しに戻します。お話としてはよくできたものをひとつ。大学の「経営責任」が問われる話しです。愛知県の女子大の野球部が男子のリーグ戦に入ったものの、ケガ人続出でチームを組めず早々に撤退(企業なら倒産)したという話しがありました。もし、ルールが女性向きではないから変えろ、球を柔らかくしろ、バットが飛ばないようにしろ、などの意見があっても誰も相手にしないでしょう。ソフトボールはそのためにあるのでチョ、ぐらいは出るでしょうが。

厳しい競争に晒されている会社ではビジネスの論理がルールです。仕事は忙しいのが当たり前で、本来男性も女性もありません。そして倒れるまで「活用」するのです。女性だけは倒れないように、子供を生んで育てながら仕事ができるように変えろ、というは会社を社会福祉制度と勘違いしている。逆に会社が女性活用自体を目的にして、他を犠牲にすれば潰れてしまうでしょう。(だから法律というルールによって同一の競争条件を作ったのだと思います。)

故に、本気で女性を活用しようとすると会社か個人が潰れるのですから、成果主義と同じく、熱が醒めるのを待った方がいい、がとりあえずの私の結論です。

さて、本題からはそれますが、少子化対策の議論と矛盾している。女性の収入が増えれば(裏返しで男性の収入が減れば)子供が増えるとでも思っているのでしょうか? 実際は逆で、まず結婚をしなくなり、結婚しても仕事が忙しいから(仕事が面白いから?)子供は作ららない、になるのでは。単純化すれば、女性活用の拡大→少子化→労働人口の減少→女性活用のスパイラル、になると見ています。

百歩譲って、働きながら子供を育てられる制度が機能したとして、夫の生活や子供の養育はどうなるのかを問いたい。企業が女性を活用するために、あるいは女性の自己実現のために、夫が「協力すれば」(犠牲になれば)いい、でしょうかね~。そもそも、主婦という存在を軽く見ているのではないでしょうか?特に女性は。これについてはまた別の機会に。

この関係で言えば、日経ビジネスには、一部の国々で「女性の働きやすさ指数」と「国際競争力」の相関がプロットされた図が勝ち誇ったように掲載されているが、これだけでは決して因果関係の説明にはなりません。思わせぶりなデータを使って結論を引き出そうとしているところに記者のセコサを感じます。この図からなら、「女性が働きやすい国ほど国際競争力が高い」とは言えず、むしろ「国際競争力が高い国ほど女性が働きやすい」と言った方が実感に近い、と私は思います。

結論が先にあって、それを正当化できそうな話しだけを集めたような取材になるのはジャーナリズムの常でしょうが、その結論自体が間違っていることを全く疑わない姿勢ではジャーナリズムにはなりません。少なくても多様な側面が問題であれば、両論を併記しないのはただの扇動です。

雑誌が扇動しても構いませんし、過去にエンロンを擁護し、ソニーの出井体制を褒め称え、成果主義賃金を迫った前歴のある雑誌ですから、記憶力や知性を持っている方々には、ここまで扇動的な記事なら逆の作用(この論調もどうも怪しい~)を生むだろうと期待します。しかし、このような論調が増えてくると、悪乗りしてくる輩が大手を振り始めます。より扇動的な雑誌、無節操な経営コンサルタントや学者、そして思想のない経営者とその下部の人事部門、何よりも女性自身。

日本は既に女性にとって働きやすい国だと私は思っています。ここで議論の対象にしているような会社では、かなりの比率が数年以内でやめるのが分かっていても、教育訓練を施し、(会社が投資を回収する前でも)自己都合退職にもそれなりの退職金や失業保険を出します。ましてや、公務員、教職員、「士」業などで競争がさほどない分野なら、男女差なく、そこそこの給与で身分も保証され、十分休みも取れて、安定しています。冒頭に書いた、女性が主体の会社はいろいろ工夫をしてますし、長期間勤められるかどうかは別にすれば、能力だけを見て採用する会社もあります。要は選択ができるのです。もちろん、厳しい競争に晒されている会社は、日本電産の社長が言うとおり、「お茶汲み」に年収800万円も払っているようなことは本来許されませんから、過去の遺産は淘汰されていくとは思います。

誤解なきように付け加えるなら、日経ビジネスをこのように嫌いながらも毎週読んでいるのは、嫌う労力を費やすだけの手応えがあるからです。SPAなども見出しは興味を持たせる問題設定を見かけるのですが、実際に読むと内容が浅はかで、費やす労力がモッタイナイ。(宮台真司は今でもSPAを評価しているのかな~。)

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